Column No.2 可能性への扉
音楽院公式コラム
Column No2
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可能性への扉
演出家
柚希 美来
金井優佳嬢の歌声を
初めて聴いたのは、
銀座のライブハウスでした。
最初に惹かれたのは
ステージでの歌声ではなく、
歌を愛する優佳嬢の人と成りや
生き方でした。
お客様お一人おひとりに
丁寧にご挨拶されてまわる姿は、
単なる営業スマイルではなく、
CA時代に会得された
ホスピタリティマインド
(おもてなしの心)そのものでした。
お客様との一期一会を大切にされる
優佳嬢の立ち居振る舞いや
ステージマナーも素晴らしく、
敬意に近いものを感じたことを
記憶しています。
♬
そうした敬意をふまえて、
私の耳─platinum ears
(=歌や音楽の力を読みとる匠の耳のこと)
の登場です。
じっくり歌声を聴かせてもらいました。
一般的には、20年も歌ってくると、
歌にも手垢やクセが
加わりがちなものです。
ところが歌もお人柄同様、
全くクセやアクもないのです。
バラードでも、ジャズでも、
曲によっては、
まさにシャン•ド•ランジュ
──天使の声といってよい
邪気のないピュアな声が
垣間聴こえてくる時があります。
優佳嬢はジャズシンガーではないので、
ジャズならではの
人生の味わいを感じさせるには
もう少し時間がかかるでしょう。
ジャズやブルースを歌いこなすには
もう一皮剥ける
必要があることは確かです。
まぁ、ご本人は至って真面目な
レディーですから、
ときに小悪魔のように、
あるいは掠れたセクシーな声で!
〜と、ご無理なことは言えませんで……(笑)。
♬
それはともかく、
キャラの異なるジャズでさえ、
こうした瑞々しさが漂う
不思議さの謎解きが必要でした。
ご本人にも、
この幼ない歌声とどう付きあうかを
課題にしていただいています。
脳科学や心理学からみますと、
童女時代に優佳嬢の脳に貯蓄された
幼き乙女の声が
そのまま手垢が付かずに
残っていると考えられます。
歌姫・美空ひばりさんの
幼き乙女の声と同じ種類のもの
をお持ちだといえると思います。
私と同じく、お耳のイイ
platinum earsの方でしたら、
この瑞々しさの源泉に
関心が向くのではないでしょうか。
♬
優佳嬢の
スタイリッシュ•シンガーへの道は
まだ始まったばかりです。
まずジャズボーカルでは、
二人の歌姫を教材にしています。
一人は、世良譲さんに師事した
しばたはつみさん。
世界に通用したジャズの発声に
酔いしれたものでした。
もう一人は、グラミー賞に12回も
ノミネートされた
ペギーリーさん。
女優としても花開き、
大人の雰囲気たっぷりの
しっとり歌唱法でした。
さてこちら金井優佳嬢。
私から出される課題にどう取り組み、
どのように進化し、
さらに輝いていくのか、楽しみですね♬
次回は、
スタイリッシュ•シンガーについて
述べたいと思います。